1996年に「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げし、劇作家・演出家・俳優として2000年代以降の日本演劇界を牽引する長塚圭史。
『ポルノ』は、その長塚率いる阿佐ヶ谷スパイダースの旗揚げ公演『アジャピートオジョパ』に新たなエピソードを加え、2002年に上演された作品です。エンターテインメントでありながら、現実と妄想のあいだを行き来する、不思議であたたかく、そして少しスリリングでハートフルホラーな物語を描き出し、その世界観が高く評価されました。
今回この『ポルノ』の演出に劇団ゴジゲン主宰であり、映画監督としても活躍する松居大悟が挑みます。2002年に地元福岡の劇場で本作を観た体験が、自身の演劇の原点になっていると語る松居は、2016年に下北沢ザ・スズナリにて長塚作『イヌの日』を独自の感性で演出し、大きな話題を呼びました。
舞台のみならず映画の世界でも、人間の不器用さやささやかな日常を繊細かつ誠実に表現し続けてきた松居が、10年越しの想いを胸に、長塚が生み出した名作『ポルノ』を新演出版として上演します。
「AIが何もかも表現してしまいそうな時代、どんな表現も審査され、どんな言葉も管理される世界」だからこそ。人間の生、正義、温もりと葛藤が渦巻くこの『ポルノ』をどのように蘇らせるのか。ぜひご注目ください!
7人の男女を演じるのは、劇団「柿喰う客」の中心メンバーで、近年は大河ドラマ「光る君へ」やドラマ「しあわせな結婚」が話題になるなど映像でも活躍する玉置玲央、映画・ドラマだけに留まらず舞台での活躍も目覚ましく、その確かな表現力で注目を集める前田敦子、『弱虫ペダル』やミュージカル『刀剣乱舞』などの2.5次元作品で確かな実績を重ね、近年はストレートプレイや映像作品でも活躍する鳥越裕貴、劇団「ヨーロッパ企画」の劇団員として活動する傍ら、外部の舞台や映像作品、ナレーションでも活躍する藤谷理子、舞台のみならず「ZURULABO」で舞台の脚本や演出、漫画の発表など多方面でその存在を知らしめる小野寺ずる、大河ドラマ「いだてん」やNHK総合連続テレビ小説「らんまん」をはじめ話題のドラマ・映画・舞台で幅広く活躍する岩本晟夢、劇団ゴジゲンの劇団員であり舞台を中心に活動しながら、映画やCMなど多才ぶりを発揮するうぇるとん東と、実力派キャストが揃いました。
松居が絶大な信頼を寄せる同世代の俳優・クリエイター達とのコラボレーションが生み出す化学変化からも目が離せません。どうぞご期待ください。
坂の多い町・坂上町で行われる議員選挙。
立候補した国旗耕ニの公約は、高齢者や歩行に障害のある人のために町にある全ての坂をエスカレーターにするというものだ。
それでも支持率が伸びず、彼と妻の美和子は恐ろしき行動に出る。
7人の男女が織りなす、美しくも醜悪な恋物語。
『ポルノ』は2002年に半蔵門のTOKYOFMホールで上演した作品で、阿佐ヶ谷スパイダースの1996年の旗揚げ公演『アジャピートオジョパ』という作品をリライトしたものです。『ポルノ』というタイトルは若気の至りとも言える21歳で書いた旗揚げ作品を見つめ直して「曝け出す」というような心づもりもあったのかも知れません。ただ骨格以外は全て書き直し、さらに新たなエピソードを2つ加え、3つの物語を繋げた作品となっています。案外気に入っていて、いつかまたやってもいいのかもと思っていましたが、松居大悟さんが手を挙げてくれたので一旦任せることにしました。私の「いつか」は当てにならないから有難い話です。松居さんは以前にも『イヌの日』を演出しました。凶暴な頃の私のロマンチシズムに惹かれるのでしょうか。あの頃の私は随分ロマンチックでした。いずれにしても、恥ずかしいような気持ちも半分抱きつつ、やはり楽しみにしているのです。
(プロフィール)
見たことのない役者による聞いたこともない台詞の数々に、
目が離せなくて脳が揺さぶられて、劇すごいや!と心は持っていかれて。
2002年、阿佐ヶ谷スパイダース『ポルノ』を福岡で見た高校生の頃のことだ。
同じ時、玉置玲央は東京で同公演を見ていたらしい。
彼と僕と本作プロデューサーの時田さんは2010年にゴーチ・ブラザーズに入所した同期で。
玲央と時田さんと、「いつかはポルノをやりたいね」とずっと話していた。
2016年に阿佐ヶ谷スパイダースの『イヌの日』を上演した時よりも前の話だ。
念願だった方々ともご一緒します。
前田敦子さんは映画でよくご一緒していて、舞台で初めてやれることが嬉しい。
藤谷理子さんはヨーロッパ企画でずっと見てきて、どうしても本作に参加して欲しかった。
小野寺ずるさんは劇団時代からの縁で、ググッと客席を持ち上げてくれるパワフルなお方。
岩本晟夢さんは映画の熊本オーディションで出会って、東京にやってきたイノセント。
鳥越はゴーチのダイナモで、うぇるとんはゴジゲンのダイナモだ。
フライヤーのデザインは、映画でお世話になった大島依提亜さん。
舞台のデザインは初めてなのだそう!
イラストは我喜屋位瑳務さん。
『ポルノ』のイメージがぐんぐん湧きます。
AIが何もかも表現してしまいそうな時代の、どんな表現も審査され、どんな言葉も管理される世界で。
『ポルノ』を届ける土台は固まりました。
正しいか間違いかはどうだってよくて、自分の正義を容赦なく振りかざす本作を浴びてほしいです。
心を込めて問題作を届けます。
2026年4月に東京と福岡と大阪にて。
劇場でお待ちしております。
(プロフィール)